月刊
社長のコラム
株式会社療食サービス社長のコラム

  • -第208号-若い時の苦労は買ってでもせよ(2022.7)

    コラム

    2022.07.01

    何やら古めかしいタイトルに聞こえるかもしれませんが、今号は少し若い人達に読んでいただきたい気持ちで書かせていただきました。皆様この「若い時の苦労は買ってでもせよ」ということわざはご存知でしょうか。私は子供の頃に親から常々聞かされていましたが、当時はまったく理解できていませんでした。しかし、大人になるにつれ少しずつその意味が分かってきました。このタイトルに値するかどうか分かりませんが、私の「若い時の苦労は買ってでもせよ」をお送りいたします。今号もどうぞ最後までお付き合いください。


     私は18歳で上京し、20歳までの2年間、渋谷区にある新聞配達店に住み込みで新聞配達をしながら学校に通いました。現在、そのようなスタイルの学生生活はあまり無いかもしれませんが、当時はごく一般的なことでした。どんな生活ぶりだったのかと言いますと、毎朝3時半に起床し、約200件の配達をこなした後、6時過ぎに販売店に戻り、急ぎ朝食をとり学校に向かい、下校後は夕刊の配達に行くというかなりハードなものでした。学校に行っても疲労でほとんど寝ている始末で、今考えるとよく身体も壊さず、無事に卒業できたものだと自分を褒めてあげたい気持ちです。


     当時の新聞業界は年2日しか休みが無く、従って363日がこの生活です。その上、親元を離れ見知らぬ大人との共同生活もあり、この生活を2年間も続けられるかどうか不安で、母親が送ってくれた布団の中で涙したこともありました。真冬の朝に布団から出るのも一苦労でしたが、冬場は身体を動かしているとぽかぽかと温まり、朝は気分爽快でした。むしろ夏の方が大変だったように思います。後で聞いた話ですが、私の母親は2年間、毎朝私と同じ時刻に起き、離れて暮らす息子の身を案じていたそうです。母の息子への愛情には頭が下がる思いです。


     私にとってこの2年間は何物にも代えがたい貴重な経験であり、今経営する立場にあって、この経験が無ければこれまで会社を続けることができなかったのではないかと思います。それほど価値のある2年間でした。


     時々東京に行った際、現地に赴くことがありますが、更なるやる気を彷彿させることができ、私にとってこの新聞販売店は「聖地」なのです。現在「若い時の苦労は買ってでもせよ」ということわざは死語になりつつあるかもしれませんが、若い皆様方には是非この境地にチャレンジしていただくことを切に願うばかりです。大人になって「あの時苦労して良かった」と思える時が必ず来ることでしょう。今この季節になると汗水流して新聞配達をしていた頃を思い出します。今号も最後までお付き合いいただきありがとうございました。今号も最後は夫婦の会話で締めたいと思います。


    私「新聞店の周り大分変わったね!」

    妻「お父さん、寄れて良かったね」

    私「行くとまた頑張ろうという気持ちが湧いてくるんだよね」

    妻「お父さん、これからも頑張ってね!」

    大変お粗末様でございました。